「だせぇ」
ちょっと昔の話。
今よりも僕はずっとずっとサッカーが好きで、夢を語るのが好きだったんです。
でまぁ、当時も今と変わらず資金集めには苦労しまして、
男友達と飲みながら「大分の人間はトリニータなんかに金を出さない、だから経営が苦しいんだ」と文句言ってたのです。
都町で。
したらまた、この友達が「じゃあ、わかった」と言うのです。「俺の友達にマネジメント能力がある奴がいるから引き抜きにいこう」と。 ウチのスタッフはみんな頑張ってるし、信じてついてきてくれてるのでオレは焦りました。「いや、ちょっと待って」とあわてます。
でも友達は、少し遠くで飲んでいるその会社の社長とその部下の人たちを見つけ出し、「出向いて行って一緒に飲もうぜ」と言い、席を立ちます。
オレは「いや、向こうも迷惑だし」とか「さすがにうざいっしょ」とか言って止めます。
友達は「やってくれると言えば、万々歳じゃねぇか。経営は楽になるぜ?」と言ってましたが、オレが動こうとしないので行くのをやめました。
「じゃあ、大分は諦めて、関東かどっかに移転するか?」と友達は言います。
「逆にそっちの方が難易度高いだろ」とオレは顔をしかめます。
「でも大分じゃ人もカネも集まらないんだろ?だったら移転して出直すしかないだろ」と友達は口調を強めます。
「そう言うのは簡単だけど、普通に大分で成功したいんだ」とオレ。
「なに、普通って?」
「もっとサポーターにお金を出してもらってチームを強化するとか、ユースを強化していい選手をたくさん輩出して高値で売るシステムを確立するとか、そういう…」とハッキリ言えない自分。
「じゃあ、オレが今から某クラブの担当者に電話して、今から○作を買い取れ!って言えばいいのか?あいつならいい選手だし、相当高く売れるよな」という友達。
「それは…、だけど、ほら、お前もこの前言ってたじゃん。生え抜きの選手はなるべく出さない方がいいとか」
「は?」
「その…」
「…生え抜きの選手をじゃねぇよ。人気がある選手をだよ」
「あ、そうだったね。…でもウチ、売らなきゃ経営が成り立たないし。そしてどんどん売らなきゃ、ユースの優秀な子らが上に上がってこれないし…」
友達はオレの顔をじっと見つめながら、一言、
「だせぇ」
と言いました。
ごちゃごちゃ言ってるけど、お金がないだけじゃん
彼は言います。
言い訳をして、さも「こういう事情なんだ、だからしょうがないんだ」って言うけれど、お金を集められない自分を必死になって正当化してるだけじゃん、と。
一番高く売れる選手を出す勇気もないやつが、優秀な選手を輩出して高く売るとか言うんじゃない。
スポンサー獲得に失敗すれば「大分だからな…」って言うし、年俸交渉に失敗すれば「出せないものは出せない。これが精一杯の誠意だ」とか言うだろうし、戦力外になってる安いので大丈夫か?と言われれば「いや、彼はシャムスカのお墨付きをもらってるんだ」って何かにつけて言い訳するんだろ?だったら「自分たちにはマネジメント能力とスカウト能力がないんです」って素直に認めて文句言うんじゃねぇよ。
そっちの方が、よっぽど何かってときに力になりたいってと思うし、つーか、できない理由並べて、今の自分を否定させずに、わかってもらおうとするその魂胆がだせぇ、と。
あれは恥ずかしかったなー。
すげぇ。恥ずかしかった。その場は言い訳もできず笑ってごまかしたけど、家に帰ったら彼の顔とセリフが思い浮かんで、布団の中で「でもさ、でもさ」と必死に言い訳考えてた。
オレにはオレの事情があるんだ、しょうがねぇじゃんかよって。
ブルーハーツの「英雄にあこがれて」聞きながら(笑)
ひとしきり考えたら、そんな自分を「だせぇ」って思った。
ここまではいい話。
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